連携の大切さ
医療連携により東京より遠く離れた土地からご相談を頂き、当会の職員を連れて面会へ行って参りました。
予期せぬ妊娠で悩まれる方その数だけご事情があり、地元の相談窓口での相談が難しい方、或いは勇気を振り絞って相談をしても威圧的な対応を受けてしまい、せっかく相談窓口までたどり着いたにも拘らず、そこから足が遠のいてしまう方が多くいらっしゃいます。
数時間かけて雪がまだ残る場所でお会いしたお母さんはとても若く、そしてまた沢山の複雑な思いを一人で胸に抱え苦しんでいました。最初はお話するのが難しかったお母さんも、時間をかけて少しづつですがぽつ、ぽつと、気持ちをお聞かせいただきました。
同じ予期せぬ妊娠であっても、その相談への対応で相談者の人生や、相談者の問題に向かっての思いが大きく変わります。
またお産というものは医療施設で通常なされるものでありますが、この医療現場で予期せぬ妊娠で悩む方々の葛藤や養子縁組を正しくご理解いただく事は、お産をされるお母さん方の医療的な安定だけではなく、精神的な安定にも大きく左右します。
私共はどの医療施設でもきちんとご挨拶に上がり、当会の理念や活動内容をご説明し、丁寧で細やかなケアをしていること、同行支援により私共が医療施設外でどのようなサポートを行っているかなども知って頂いております。
できるだけ関わる機構と細やかな連携を図り、お産後に養子縁組委託となる場合も、お産に関わる医療の皆さまに無理がない範囲で子どもの養育の様子や経過など一緒に見守って頂いております。
そうして医療施設の方々に、民間団体との協働は特定妊婦さんへのより良いサポートだとご理解いただき受け止めて頂くことは、相談者である妊婦さんにも大きく関わります。
日本は先進国ながらも、今まであまりにもこうした周産期へのメンタルケアをおろそかにしてしまったのではないでしょうか。
たとえ今回の妊娠が自身での養育が叶わなかったお母さんであっても、それが彼女たちにとって「いいお産」となれば、そのお母さんが迎える次のお産もきっと「もっといいお産」につながる、と私たちは信じております。
産んでも育てられない「困った妊娠をしてしまった」と思っていたお母さんでも、自分も、赤ちゃんも幸せになってもいい道があると知る時、悩んでいるお母さんは希望を持つ事ができます。 私共はそうして関わる全ての人に良い養子縁組のケースを、これからも一つづつ積み重ねて行けるよう努力して行きたいと思います。
(おがわ)